スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

ミッドウェイ

 一昨日、夜中に仕事を終えたあと、しばらくヱビスビールでも飲みながらテレビを観ようと思って、リモコンをがちゃがちゃやっていたら、NHKのBS2で「ミッドウェイ」をやっているのにぶつかった。この作品は、以前にも観たことがあるのだが、今回もまた、ついつい最後まで観てしまった。

midway.jpg

 1976年のジャック・スマイト監督作品。彼は、前年に「エアポート75」を大ヒットさせている。主人公ガース大佐に、今年亡くなったばかりのチャールトン・ヘストン、ニミッツ太平洋艦隊司令長官にヘンリー・フォンダ、ハルゼー大将にロバート・ミッチャム。日本軍側は山本五十六連合艦隊司令長官に三船敏郎と、スターを揃えた、まあ、大作である。

 史実のミッドウェイ作戦における日米両軍の攻防を縦糸にして物語は進むが、ガース大佐と、自身もアメリカ海軍の戦闘機搭乗員で、ミッドウェイ海戦にも参加するその息子、また、ハワイの日系人で今は捕虜収容所に入れられている息子の恋人ハルコとの人間模様を横糸に配してある。

 戦争シミュレーション小説を書いている頃、私は、何度もミッドウェイ海戦を書いたから、史実上の日米両軍の動きは知り尽くしている。そのこともあって、本作品を楽しく観ることができた。が、中ジョッキ片手にテレビを眺めていて、違和感というほどでもないが、些か、奇妙な世界に迷い込んだような感覚を、私は味わいもした。

 というのは、日本側の軍人を演じた俳優たちである。前述のように、山本大将は三船敏郎で、これは私もよく知っている俳優だ。「男は黙ってサッポロビール」の人である。たまたま、私が飲んでいたのもヱビスビールで、これも今は、サッポロビールが販売している。まあ、それはそれとして。

 しかし、ほかの日本軍の主だった軍人を演じる俳優を、私は、誰一人として知らなかった。南雲忠一第1航空艦隊司令長官を演じるジェームズ繁田をはじめとして、ほとんどがハリウッドで仕事をしている東洋人を使っているからだ。しかも、三船も含めて、日本人はみんな、英語の台詞を喋る……。これは奇妙な感覚だった。しかし、そういった感覚を味わえるのも、映画の醍醐味の一つではあるのだろう。

 公開が1976年とあって、太平洋戦争が終結して、もう長い時間が経った後に作られているから、日本軍に対する悪意は薄く、ところどころに日本軍を賞賛する台詞もある。たとえばそれは、ゼロ戦と空中戦を行うときの、
「なんという上昇力だ!」
 という台詞であったり、作品中、何度も繰り返される、
「戦力も、技量もヤマモトのほうがはるかに上だ」
 という台詞である。

 むろん、これらは、日本軍側の有利を観客に知らせた上で、それを克服し、日本軍を撃滅するアメリカ軍の活躍を際立たせるための台詞である。しかし、日本人が聞いても、あまり悪い気はしないから、愛国心というものは恐ろしい。

 もう一つ、これは、なるほどなあ、と思ったことなのだけれども、作中では、日本軍側の幕僚は、みんな、鼻下に髭を蓄えているのである。山本も、南雲も、宇垣纏連合艦隊参謀長も、草鹿龍之介第1航空艦隊参謀長も、山口多聞第2航空戦隊司令官も、将官はみんな立派な髭を生やしているのだ。

 史実を調べてみると、上記の人物の中で、ミッドウェイ海戦当時、髭を生やしていた人は一人もいない。なるほど、この辺りが、アメリカ人の日本軍人に対するイメージなのか、と思った。

 ところで、三船敏郎の英語の台詞が、ことのほか上手いのには吃驚した。彼の英語が上手いといっているのではない。あくまでも英語の台詞回しの話である。発声にメリハリが効いていて、威厳があって。もし、山本大将が英語を母国語とする人であったら、間違いなくこのような喋り方をしたであろうと思わせる英語の台詞運びだった。三船は、日本語の台詞を読む時は、どちらかと言えばぶっらぼうで、少し訛りもあるから、この英語の台詞の上手さは意外だ。

 そう言えば、「007は二度死ぬ」に出演したときの丹波哲郎も英語の台詞が上手かった。国際的スターになるには、この辺が一番、重要な要素なのかもしれない。

007.jpg

 となると、今の日本を代表する国際的スターのはずの渡辺謙が、あれほど英語の台詞が下手なのは、いったいどういうことだ。渡辺の英語の台詞は、私には、普通の血の通った人間が喋っている英語には聞こえない。なんというか、不自然で人工的な感じがする。渡辺にとっては、この辺りが今後の課題なのだろう。
スポンサーサイト
[ 2008/07/10 11:57 ] 日常生活 | TB(-) | CM(-)
来訪者数
松井計のプロフィール

松井 計

1958年7月5日生まれ。大学卒業後、英語講師、古書店店主などの職を経験。1995年7月短編戦記小説集「血戦! 帝国艦隊進撃ス――零戦隊激闘記」を松井永人名義で刊行、文筆生活に入る。2001年幻冬舎より刊行した「ホームレス作家」から筆名を本名に戻し、以降は松井計の名前で活動、現在に至る。趣味は野球、酒、猫。社団法人・日本文藝家協会会員。

メールフォーム
松井計への仕事のご注文は、松井計事務所にご連絡ください。下のアイコンをクリックすると、メールフォームが開きます。


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。