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「家に帰らない男たち」(扶桑社新書)

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           ■扶桑社新書「家に帰らない男たち」をお買い上げになる方は●こちら●へ。

●主な書評・書籍紹介記事・関連記事掲載紙誌

産経新聞」3月16日付朝刊読書面
週刊ダイヤモンド」3月22日号
週刊文春」3月20日号『ルポ「家に帰らない男」のホンネ』
日経ビジネスオンライン」4月3日『日刊新書レビュー
読売新聞」4月6日付朝刊『本よみうり堂・著者来店
クロワッサン」335号 書評コーナー著者インタビュー
宝島」8月号(宝島社
CREA」9月号『読書の快楽!』(文藝春秋

【詳細目次】

●はじめに
●第一章
「帰らない男? 帰れない男?」
広告代理店勤務、山村信吾、四十四歳
●第二章
「夢なき夢追い人」
ネット喫茶難民、種村健二、二十二歳
●第三章
「家に帰るのが怖い」
地方出身のサラリーマン、笹山義和、四十三歳
●第四章
「週末婚」
IT企業勤務の高収入サラリーマン、山崎聡、三十八歳
●第五章
「万事、問題なし」
脱サラした自営業者、多田野道夫、五十歳
●第六章
「二重生活者」
デザイン事務所勤務、木村耕一、四十六歳

○発行元 扶桑社
○編集担当 星野俊明
○刊行年月日 2008年3月1日
○版型 新書版
○定価 680円+税
○エージェント 栂井理恵(アップルシードエージェンシー
ISBN978-4-594-05593-6

■立ち読み

はじめに

 私が、<家に帰らない男たち>の話を取材して、一冊の本にまとめたいと思ったのは、ある友人の言葉がきっかけだった。それは金曜の夕刻のことだったが、その友人から、久しぶりにいっぱい飲まないかとの誘いの電話がかかってきた。
 誘いに応じて、待ち合わせ場所へ向かうと、先に着いていた彼は、私の顔を認めるなり、
「いやあ、今週一週間は、ぜんぜん、家に帰ってないんですよ。今夜こそは帰らないとね。子供に顔を忘れられてしまいますよ。だから、今日は遅くまでは呑めませんから、軽く――」
 と言ったのである。彼は、一般の企業に勤めるサラリーマンである。自分でも口にしたとおり、自宅には妻子がいる。そんな男が、一週間も帰宅していない、というのが、私には不思議だった。いくら仕事が忙しいとは言え、毎晩、泊り込みで仕事をしているわけでもあるまい。
 一週間に一度や二度、どうしても帰宅できないことがあると言うのならいざ知らず、一週間ぶっ通しで帰宅していないと言う彼の言葉は、私には俄かには信じ難かったのである。
 もう一つ不思議だったのは、この一週間、そういう生活を強いられたのであれば、仕事が早く終わった今日くらいは、真っ直ぐに帰宅すればいいではないか。彼がそうせずに、わざわざ<遅くまでは呑めないから軽く>と断ってまで、私を酒に誘うのが理解しにくかった。
 彼にとっては、家に帰らないことに、何か重要な意味があるのではないか――私はそう思った。
 結局、その日も、彼は自宅へは帰らなかった。十二時前くらいまで居酒屋で私と一緒に呑んだ後、彼は、
「もう一軒行きましょうよ」
 と私を誘ったのである。
「帰れなくなるよ。今日は家に帰るんだろう?」
 言っても、彼は、
「まあそう固いことを言わずに。もう一軒だけ、いいじゃないですか」
 と譲らない。結局、我々はもう一軒バーに行き、午前二時頃にお開きにした。彼は、今から帰るのは大変だから、明日の朝帰る、と言って、夜の街に消えていった。サウナかカプセルホテルに泊まるのだろう。
 そんな経験が、私に、<家に帰らない男たち>への興味を抱かせたのである。現在の東京には、終夜営業のサウナやカプセルホテル、インターネット喫茶など、安価で泊まれる施設がいくらでもある。そういうところを泊まり歩いて、滅多に帰宅しない男は、思いのほか多いと聞く。
 私は初め、そういう男たちは、仕事が忙し過ぎたり、通勤に時間がかかり過ぎたりして、不承不承、そういうところに泊まり、たまにしか家に帰れない生活をしているのだろうと考えていた。しかし、件の友人の例を見ると、そうとも限らないようである。
 彼は、あの日、早めに仕事が終わったのだから、私を呑みに誘いさえしなければ、充分に帰宅できたはずなのである。が、彼はそうせず、また、家に帰らない夜を一人で過ごすことになった。
 となれば、少なくとも彼にとっては、家に帰らない理由は、多忙だけではない、ということになる。ひょっとしたら、ほかの多くの家に帰らない男たちも、彼と同様なのではないだろうか。
 であれば、そんな人たちの話を丹念に聞いていけば、家に帰らない男たちの実相を炙り出すことができるのではないかと私は思った。それは、<家族>というものの意味を考えることにも繋がろうし、<都市の今>を描出する営為でもあると思った。
 こうして私は、<家に帰らない男たち>の取材を始めることになったのである。

 実は、私は、二〇〇一年の冬から秋にかけて、住居を失って路上を彷徨する日々を送った経験がある。その経緯は、「ホームレス作家」という書物に、綿密に記した。考えてみれば、あの頃の私は、まさに<家に帰れない男>だった。帰りたくても帰る家のない男、であった。その頃の私は、たまさか手元に多少の金があるときは、サウナやカプセルホテルに泊まったものである。
 あの頃――私は、一刻も早く、帰ることのできる家を見つけたい、とばかり考えていた。帰るべき家がないことが、最大の苦痛であり、住居を回復することが、人生のメインテーマだった。幸いにして、前述の「ホームレス作家」が刊行されたことによって、私は世田谷区内に住居を持つことができ、今、そこでこの原稿を草しているわけである。
 そういう経験をした身としては、帰るべき家があるのに帰らない男たちの心境は、きわめて興味深いものである。そんな思いも、本書をまとめる動機になった。

 本書は、六人の男の経験を中心にしてまとめてある。俗に言うネット喫茶難民も一人含まれているが、それ以外はみんな、定住する家がある人ばかりである。彼らの家に帰らない生活は多彩で、その原因・理由、または、自分のそんな生活をどう受け止めているかも、一人一人が大きく違っていた。
 まさに、人生は十人十色であり、だからこそ人間は面白い。取材を終えた後、私はそう思った。読者諸賢にも、本書読了後、そんな思いを共有していただければ幸いである。
                                          続きを読むには●こちら●
                               
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[ 2008/01/29 15:21 ] 書誌データ | TB(-) | CM(-)
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松井計のプロフィール

松井 計

1958年7月5日生まれ。大学卒業後、英語講師、古書店店主などの職を経験。1995年7月短編戦記小説集「血戦! 帝国艦隊進撃ス――零戦隊激闘記」を松井永人名義で刊行、文筆生活に入る。2001年幻冬舎より刊行した「ホームレス作家」から筆名を本名に戻し、以降は松井計の名前で活動、現在に至る。趣味は野球、酒、猫。社団法人・日本文藝家協会会員。

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