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アーカイブ原稿29「太平洋戦争の落とし穴」第15回

■「太平洋戦争の落とし穴」第15回『大量の餓死者を出したニューギニア戦線』
■初出……「日刊ゲンダイ」2006年4月24日号

 古今東西の戦史の中でニューギニア戦線ほど悲惨なものはない。多数の犠牲者を出した原因は長期的展望の欠如だった。
 42年7月、大本営は「り号作戦」を発動。ニューギニア島のバサブアからオーエンスタンレー山脈を越えてポートモレスビーを攻略する作戦だ。移動距離360㌔の同作戦は事前の研究で不可能とされた。標高2000㍍のオ山脈では物資を運搬できないからだ。

 ところが、大本営作戦班長の辻正信中佐は「り号作戦は研究にあらずして実行である」とごり押しした。辻は「作戦の神様」と呼ばれた人物だが、補給を完全に無視していた。目的地に到達するまで物資糧秣を補給する予定はなく、各兵士は米5升を担いだだけ。そこには「食料は奪い取るもの」という日本軍の場当たり的な精神が貫かれていた。開戦前に補給ルートを完成していた米国とは正反対。まさに人命軽視のやり方である。
 結果、食料が尽きた攻略部隊は退却を決定。作戦は失敗に終わった。
 犠牲は大きかった。退却までの戦病死者、餓死者は約1000人。退路はさらに悲惨だった。連合軍が追撃してくる中、兵士は飢餓と熱病に倒れ、総員7386人のうち5432人が死亡。まさに地獄である。
 長期的展望に欠けた一人の参謀の独断がこの悲劇を招いたわけだが、現在の日本でも似たようなことが行われている。
 たとえば年金。現行の年金制度は賦課方式といって、いま働いてる人が老人を養うシステム。いうなれば〝自転車操業〟だ。政治家や官僚は少子高齢化によって年金制度が破綻することはとっくに予測できたはず。だが、政府は抜本的対策をとらず、支給額の減額などでその場をしのごうとしている。これもまたニューギニア戦線同様の長期的展望の欠落というほかあるまい。
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[ 2009/07/10 22:00 ] アーカイブ | TB(0) | CM(-)
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松井計のプロフィール

松井 計

1958年7月5日生まれ。大学卒業後、英語講師、古書店店主などの職を経験。1995年7月短編戦記小説集「血戦! 帝国艦隊進撃ス――零戦隊激闘記」を松井永人名義で刊行、文筆生活に入る。2001年幻冬舎より刊行した「ホームレス作家」から筆名を本名に戻し、以降は松井計の名前で活動、現在に至る。趣味は野球、酒、猫。社団法人・日本文藝家協会会員。

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