スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

アーカイブ原稿25「太平洋戦争の落とし穴」第11回

■「太平洋戦争の落とし穴」第11回『ゼロ戦は「人命軽視」の象徴だ』
■初出……「日刊ゲンダイ」2006年2月27日号

「三菱零式艦上戦闘機」
 ゼロ戦の正式名称である。いうまでもなく、同機は日本が生んだ最高の戦闘機。徹底した軽量化と重武装を追及したフォルムは見事までの機能美を表現している。
 同機誕生の裏には30代だった堀越二郎ほか、設計技術者たちの豊かな発想力があった。骨格に軽量アルミニウム合金を使用したうえに合金のあちこちに丸い穴をあけて軽量化。さらに増槽を設けることで航続距離を2倍にした。こんな発想は他国の技術者は持っていなかった。

 戦闘機同士の空中戦は敵機のバックを取り合う戦いだ。旋回性能にすぐれたゼロ戦は圧倒的に有利だった。しかも20㍉口径の機関砲を搭載した重装備。敵戦闘機は1発で吹っ飛んだ。同機のおかげで、開戦当初の日本軍は連勝し続けたのだ。
 しかし米軍が墜落したゼロ戦を参考に高性能の戦闘機F6Fヘルキャットなどを開発し始めると、徐々にゼロ戦の優位さは失われ、同時に日本軍は敗戦に向かった。
 ところで、無敵のゼロ戦には他国の戦闘機に比べて極端に劣る点があった。防弾装置だ。軽量化を追求するあまり、燃料タンクや搭乗席後部に設けるべき防弾装置がまったく無視されたのだ。そのため被弾するとゼロ戦は簡単に炎上、搭乗員の多くが死亡した。日本軍の発想は「搭乗員は自己責任で操縦技術を上げ、被弾を防げ」だった。
 技術と利益が最優先で人命を軽視する風潮は日本のお家芸なのか。今回の耐震強度偽装事件はいまだ真相が不明だが、この同事件もまた、利益追求のために人命が軽視された典型的事例だろう。
 人命尊重は民主主義の基本。なのに、われわれが住む日本は太平洋戦争から現在に至るまで、ずっと人命を軽視し続けているようだ。
スポンサーサイト
[ 2009/07/10 21:44 ] アーカイブ | TB(0) | CM(-)
トラックバック
この記事のトラックバックURL

来訪者数
松井計のプロフィール

松井 計

1958年7月5日生まれ。大学卒業後、英語講師、古書店店主などの職を経験。1995年7月短編戦記小説集「血戦! 帝国艦隊進撃ス――零戦隊激闘記」を松井永人名義で刊行、文筆生活に入る。2001年幻冬舎より刊行した「ホームレス作家」から筆名を本名に戻し、以降は松井計の名前で活動、現在に至る。趣味は野球、酒、猫。社団法人・日本文藝家協会会員。

メールフォーム
松井計への仕事のご注文は、松井計事務所にご連絡ください。下のアイコンをクリックすると、メールフォームが開きます。


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。