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アーカイブ原稿24「太平洋戦争の落とし穴」第9回

■「太平洋戦争の落とし穴」第9回『雇用・能力開発機構とパレンバン作戦に共通する無能ぶり』
■初出……「日刊ゲンダイ」2006年1月16日号

 厚生労働省の外郭団体「雇用・能力開発機構」が独立行政法人化に伴い、あちこちの保養施設を売却して国民の怒りを買ったことを、読者は覚えているだろう。数百億円をかけて建てた施設を1050円で売却したのだから役人は暗愚な生き物だ。実は太平洋戦争でもこれに似た作戦があった。

 42年のこと。日本軍の空挺部隊は、蘭印(オランダ領東インド=現在のインドネシア)のパレンバンに降下作戦を決行した。同地域には英国企業の石油タンクと石油精製工場があった。日本軍はこの油田地帯を占領しようとしたのだ。
 オランダ軍は作業員を全員退去させ、施設に爆破装置を仕掛けていた。油田が日本軍の手に落ちる前に、すべて爆破してしまおうというわけだ。日本軍は急がなければならなかった。
 2月14日午前、久米精一大佐指揮の第一空挺師団第二連隊430名はパレンバン飛行場南部に降下。英蘭濠の連合守備隊の応戦を跳ね返してその日のうちにパレンバン占領に成功した。
 しかし、ここに落とし穴があった。シーレーン防衛の意識が低い日本軍は周辺海域の制海権を確保できず、せっかくの石油を日本国内に輸送できなかった。失敗を繰り返した結果、ついには革袋に石油を詰めて海に流すという愚かな方法まで使う始末。もちろん、皮袋は日本に届かなかった。パレンバンの油田地帯は宝の持ち腐れになった。
 どんな立派な施設を獲得しても、それを有効利用するための具体的計画をきちんと立てていなければ、カネをドブに捨ててしまう。日本軍も雇用・能力開発機構も同じ落とし穴に落ちたのだ。
 いまは憲兵隊も特高刑事もいない。みんなで役人の無能ぶりを笑おう。そして怒ろうではないか。
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[ 2009/07/08 00:30 ] アーカイブ | TB(0) | CM(-)
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松井計のプロフィール

松井 計

1958年7月5日生まれ。大学卒業後、英語講師、古書店店主などの職を経験。1995年7月短編戦記小説集「血戦! 帝国艦隊進撃ス――零戦隊激闘記」を松井永人名義で刊行、文筆生活に入る。2001年幻冬舎より刊行した「ホームレス作家」から筆名を本名に戻し、以降は松井計の名前で活動、現在に至る。趣味は野球、酒、猫。社団法人・日本文藝家協会会員。

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